擬似言語とは?IT初心者にもわかる意味・書き方・プログラミングとの違いをやさしく解説

公開日: 2026-05-07

擬似言語とは、プログラムの考え方や処理の流れを、人間が読みやすい形で表した言語のことです。 プログラミング言語そのものではありませんが、アルゴリズムを理解したり、処理手順を整理したりするときにとても役立ちます。

ITを学び始めたばかりの人にとって、プログラミングは少し難しく感じることがありますよね?

英語のような命令文が出てきたり、記号が多かったりして、最初は何をしているのか分からなくなることもあります。 そんなときに便利なのが擬似言語です。

擬似言語を使うと、特定のプログラミング言語に縛られず、処理の流れそのものに集中できます。 この記事では、擬似言語の意味、使われる場面、書き方、サンプルコード、プログラミング言語との違いまで、IT初心者にもわかりやすく解説します。

擬似言語とは何か

擬似言語とは、アルゴリズムや処理の流れを説明するために使う、プログラム風の表現です。 英語ではpseudocodeと呼ばれます。

擬似という言葉には、本物に似せたものという意味があります。 つまり擬似言語は、本物のプログラミング言語に似せて書くけれど、実際にそのままコンピュータで実行することを目的にしない表現だと考えるとわかりやすいです。

たとえば、朝起きてから家を出るまでの流れを考えてみましょう。

起きる、顔を洗う、朝ごはんを食べる、荷物を確認する、家を出る。

これは人間にとって自然な手順です。

これをプログラムの考え方に近づけると、次のように表現できます。

起床する
顔を洗う
朝ごはんを食べる
if (雨が降っている)
    傘を持つ
endif
家を出る

このように、日常の手順を少しプログラムらしく書いたものも、広い意味では擬似言語の考え方に近いです。

大切なのは、コンピュータに実行させることではなく、処理の順番や条件をわかりやすく整理することです。

擬似言語が使われる理由

プログラミングを学ぶとき、いきなりJavaScript、Python、Java、C言語などの文法を覚えようとすると混乱しやすいです。

なぜなら、プログラミングには処理の考え方と文法の知識が同時に必要になるからです。

たとえば、繰り返し処理を理解したいだけなのに、セミコロンの位置やインデント、変数の型、ライブラリの書き方まで気にしなければならないことがあります。 初心者にとっては、どこでつまずいているのか分からなくなりやすいですよね。

擬似言語を使うと、文法の細かい違いをいったん横に置けます。 そのため、条件分岐、繰り返し、変数、配列、関数といったプログラミングの基本的な考え方に集中できます。

また、試験や設計の場面でも擬似言語は使われます。

情報処理技術者試験では、アルゴリズムを表現するために擬似言語が使われることがあります。 実際、IPAの資料でも、擬似言語はアルゴリズムを表現するための擬似的なプログラム言語として扱われています。

擬似言語とプログラミング言語の違い

ここで、多くの人が疑問に思うポイントがあります。

擬似言語とプログラミング言語は、何が違うのでしょうか? どちらもifやwhileのような表現が出てくるため、最初は同じように見えるかもしれません。

しかし、目的が大きく違います。 擬似言語は、人間が処理の流れを理解するために使います。 一方で、プログラミング言語は、コンピュータに命令を実行させるために使います。

違いを整理すると、次のようになります。

項目 擬似言語 プログラミング言語
主な目的 処理の流れを説明する コンピュータに実行させる
実行できるか 基本的には実行できない 実行できる
文法の厳密さ 比較的ゆるい 厳密
読み手 人間 人間とコンピュータ
代表例 試験用の擬似コード、設計メモ Python、JavaScript、Java、C言語
学習での役割 アルゴリズム理解に役立つ 実装スキルを身につける

この表からも分かるように、擬似言語はプログラミング言語の代わりではありません。

ただし、プログラミングを理解するための橋渡しとして、とても重要な役割を持っています。

擬似言語で理解しやすくなる基本構造

擬似言語を理解するには、まずプログラムの基本構造を知ることが大切です。 プログラムの多くは、順番に処理する、条件によって処理を変える、同じ処理を繰り返す、という3つの考え方を組み合わせて作られています。

順次処理

順次処理とは、上から順番に処理を実行することです。

日常生活でいえば、歯ブラシを手に取る、歯磨き粉をつける、歯を磨く、口をゆすぐ、という流れに近いです。

擬似言語では次のように書けます。

歯ブラシを手に取る
歯磨き粉をつける
歯を磨く
口をゆすぐ

プログラムは基本的に上から下へ処理されます。 そのため、処理の順番がとても大切です。

条件分岐

条件分岐とは、条件によって実行する処理を変えることです。

たとえば、点数が80点以上なら合格、それ以外なら不合格と判断するような処理です。

擬似言語では次のように表現できます。

if (点数 ≧ 80)
    合格と表示する
else
    不合格と表示する
endif

このように、条件を満たすかどうかで処理を分けます。

プログラミングでよく出てくるif文の考え方とほぼ同じです。

繰り返し処理

繰り返し処理とは、同じ処理を何度も実行することです。

たとえば、1から10までの数字を順番に表示したいときに使います。

擬似言語では次のように書けます。

数値 ← 1
while (数値 ≦ 10)
    数値を表示する
    数値 ← 数値 + 1
endwhile

ここでは、数値が10以下の間、表示する処理を繰り返しています。

最後に数値を1増やしている点がポイントです。 もしこの処理がなければ、数値がずっと1のままになり、処理が終わらなくなる可能性があります。

このような状態を無限ループと呼びます。

擬似言語でよく使われる表現

擬似言語には、よく使われる表現があります。

すべてを一気に覚える必要はありませんが、基本的なものを知っておくと読みやすくなります。

次の表は、初心者が最初に押さえておきたい表現です。

表現 意味
変数名 ← 式 変数に値を代入する 合計 ← 0
if 条件によって処理を分ける if (点数 ≧ 60)
else 条件を満たさない場合の処理 else
endif ifの終わり endif
while 条件を満たす間、繰り返す while (回数 ≦ 5)
endwhile whileの終わり endwhile
for 決まった回数だけ繰り返す for (iを1から10まで)
関数名(引数) 関数や手続きを呼び出す 表示する(合計)
// コメントを書く // 合計を初期化する

このような表現は、実際のプログラミング言語にも似た形で登場します。 そのため、擬似言語に慣れておくと、プログラミング言語を学ぶときの理解もスムーズになります。

擬似言語のサンプルコード

ここからは、具体的なサンプルを見ていきましょう。

擬似言語は実行するためのものではありませんが、実際のプログラムに近い考え方で書くことができます。

例1:合計を求める擬似言語

まずは、配列の中にある数値の合計を求める例です。

配列とは、複数のデータをまとめて扱う入れ物のようなものです。

配列 scores ← {70, 80, 90}
合計 ← 0

for (i を 1 から 3 まで)
    合計 ← 合計 + scores[i]
endfor

合計を表示する

この例では、scoresという配列に70、80、90という3つの点数が入っています。 for文を使って、1つずつ点数を取り出し、合計に足しています。 最終的な合計は240です。

実際のプログラミングでも、配列の中身を順番に取り出して合計する処理はよく使います。

例2:平均点を求める擬似言語

次に、合計を使って平均点を求める例です。

平均は、合計をデータの数で割ることで求められます。

配列 scores ← {70, 80, 90}
合計 ← 0
人数 ← 3

for (i を 1 から 人数 まで)
    合計 ← 合計 + scores[i]
endfor

平均 ← 合計 ÷ 人数
平均を表示する

この処理では、まず合計を求めてから、人数で割っています。 プログラムを書くときも、いきなり平均を求めようとするのではなく、合計を求める処理と割り算の処理に分けると考えやすくなります。

例3:最大値を求める擬似言語

次は、複数の数値の中から最大値を探す処理です。

これはアルゴリズム学習でよく出てくる定番パターンです。

配列 numbers ← {12, 35, 7, 48, 20}
最大値 ← numbers[1]

for (i を 2 から 5 まで)
    if (numbers[i] > 最大値)
        最大値 ← numbers[i]
    endif
endfor

最大値を表示する

最初に、配列の1番目の値を最大値として仮に設定しています。 その後、2番目以降の値を順番に確認し、今の最大値より大きければ最大値を更新します。

この考え方はシンプルですが、とても重要です。

実務でも、一覧データから一番大きい値を探す、一番新しい日付を探す、一番高いスコアを探すといった処理は頻繁に登場します。

例4:偶数か奇数かを判定する擬似言語

今度は、入力された数値が偶数か奇数かを判定する例です。

偶数は2で割った余りが0になる数です。

数値を入力する

if (数値 mod 2 = 0)
    偶数と表示する
else
    奇数と表示する
endif

ここで使っているmodは、割り算の余りを求める演算子です。

たとえば、10 mod 2は0、11 mod 2は1になります。

このような余りを使った判定は、プログラミングでよく使われます。

擬似言語を読むときのコツ

擬似言語を読むときは、いきなり全部を理解しようとしなくて大丈夫です。 最初から完璧に読もうとすると、条件分岐や繰り返しが重なったところで混乱しやすくなります。

まずは、上から順番に何が起きているのかを追いかけてみましょう。 変数に何が入っているのか、条件が真になるのか偽になるのか、繰り返しのたびに値がどう変わるのかを確認します。

擬似言語を学ぶメリット

擬似言語を学ぶメリットは、プログラミングの本質を理解しやすくなることです。

文法ではなく、処理の考え方に集中できるからです。

初心者がプログラミングでつまずく原因のひとつは、何をしたいのかは分かっているけれど、どう書けばよいのか分からないという状態です。

このとき、いきなりコードを書こうとすると手が止まります。

先に擬似言語で処理を整理すると、実装しやすくなります。

つまり、擬似言語は考えるための下書きです。

小説を書く前に構成を作るように、プログラムを書く前に処理の流れを整理できます。

擬似言語とフローチャートの違い

擬似言語と似たものに、フローチャートがあります。

どちらも処理の流れを整理するために使いますが、表現方法が違います。 フローチャートは、処理を図で表します。

開始、処理、条件分岐、終了などを記号で表し、矢印で流れをつなぎます。 一方で、擬似言語は文章やコード風の記述で処理を表します。

図で見るほうが分かりやすい人もいれば、文字で追うほうが分かりやすい人もいます。

違いを整理すると、次のようになります。

項目 擬似言語 フローチャート
表現方法 文章やコード風に書く 図や矢印で表す
向いている場面 詳細な処理の整理 全体の流れの把握
修正のしやすさ 比較的修正しやすい 図の修正に手間がかかる場合がある
プログラムへの変換 コードに近い 一度コードに置き換える必要がある
初心者への分かりやすさ 慣れると読みやすい 視覚的に理解しやすい

どちらが優れているというより、目的に応じて使い分けるのがよいです。

ざっくり流れをつかみたいときはフローチャート、実装に近い形で整理したいときは擬似言語が向いています。

擬似言語は資格試験でも重要

擬似言語は、IT系の資格試験でもよく登場します。

特に、ITパスポート試験や基本情報技術者試験を学ぶ人にとっては、避けて通りにくいテーマです。

試験では、特定のプログラミング言語の知識だけではなく、アルゴリズムを読み取る力が問われます。 そのため、擬似言語を読んで処理結果を考える問題が出ることがあります。

このとき大切なのは、焦らずに変数の値を追うことです。 処理を一行ずつ読み、条件分岐や繰り返しで値がどう変わるのかを確認します。

資格試験の勉強では、答えだけを覚えるよりも、なぜその結果になるのかを説明できるようにすることが大切です。

擬似言語は、その練習にとても向いています。

初心者が擬似言語でつまずきやすいポイント

擬似言語は便利ですが、最初はつまずきやすいポイントもあります。

特に多いのは、変数の更新、配列の番号、繰り返しの終了条件です。

変数の更新では、合計 ← 合計 + 点数 のような書き方に戸惑う人がいます。

数学の等式として見ると、合計と合計 + 点数が同じになるのは変に見えるかもしれません。

しかし、プログラムでは右側を先に計算し、その結果を左側の変数に入れると考えます。

つまり、合計 ← 合計 + 点数 は、今の合計に点数を足して、新しい合計として保存するという意味です。

配列の番号も混乱しやすいです。

プログラミング言語によっては配列の番号が0から始まることもありますが、擬似言語や試験のルールでは1から始まる形で書かれることもあります。

そのため、問題文やルールをよく確認することが大切です。

繰り返しの終了条件も重要です。

条件がいつ false になるのかを確認しないと、何回繰り返されるのか分からなくなります。

擬似言語の学習方法

擬似言語を学ぶときは、読む練習と書く練習の両方が大切です。

読むだけだと、なんとなく分かったつもりになりやすいです。まずは短い処理から始めましょう。

合計を求める、平均を求める、最大値を探す、偶数か奇数かを判定する。 このあたりの問題は、擬似言語の練習に向いています。

慣れてきたら、自分の日常の行動を擬似言語で書いてみるのもおすすめです。 たとえば、料理をする、買い物をする、ログイン処理を考える、問い合わせフォームを送信する。

身近な流れを擬似言語にすると、条件分岐や繰り返しの考え方が自然に身につきます。

擬似言語を学ぶときに意識したいこと

擬似言語は、きれいに書くことだけが目的ではありません。 一番大切なのは、処理の意図を自分や他人が理解できることです。

初心者のうちは、多少表現がぎこちなくても問題ありません。 まずは、上から順番に読めること、条件が分かること、繰り返しの範囲が分かることを意識しましょう。

また、分からない処理が出てきたら、具体的な値を入れて考えるのが効果的です。

点数が80の場合はどうなるのか、点数が50の場合はどうなるのか。

実際の値で追ってみると、条件分岐の意味が理解しやすくなります。

まとめ:擬似言語はプログラミング思考を育てる道具

擬似言語とは、アルゴリズムや処理の流れを分かりやすく表すための、プログラム風の表現です。 実行するための言語ではありませんが、プログラミングの考え方を学ぶうえでとても役立ちます。

擬似言語を使うと、文法の細かい違いに悩まず、処理の順番、条件分岐、繰り返し、変数の変化に集中できます。 そのため、IT初心者や資格試験の学習者にとって、理解の土台を作る良い練習になります。

エンジニア歴10年の実務経験から見ても、擬似言語的に処理を整理する力は、現場でかなり役立ちます。

複雑な仕様を整理するとき、チームに処理を説明するとき、実装前に考えをまとめるとき。

そうした場面で、擬似言語は静かに力を発揮します。

プログラミングに苦手意識がある人ほど、いきなりコードを書こうとせず、まず擬似言語で考えてみてください。

処理の流れが見えるようになると、プログラミングはぐっと理解しやすくなります。 ここまでお読みいただきありがとうございます。

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