ITパスポートの擬似言語は捨ててもいい?合格を目指す人の考え方

公開日: 2026-05-25

ITパスポートの勉強を始めると、テクノロジ系で急に手が止まることがあります。

特に、擬似言語の問題を見たときに、これってプログラミング経験がないと無理では?と感じる方は多いです。見慣れない記号が出てきたり、変数の値が何度も変わったりすると、読むだけで疲れてしまいますよね。

では、ITパスポートの擬似言語は捨ててもいいのでしょうか。

結論から言うと、完全に捨てるのはおすすめしません。ただし、満点を狙う必要もありません。

ITパスポートは100問を120分で解く試験で、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の3分野から出題されます。合格基準は総合評価点600点以上、かつ各分野で300点以上です。

つまり、全体で合格点を取れていても、テクノロジ系が極端に低いと不合格になる可能性があります。擬似言語はテクノロジ系の中の一部なので、苦手でも最低限は対策しておきたい分野です。

この記事では、IT初心者の方に向けて、ITパスポートの擬似言語をどこまで勉強すべきか、捨てるならどこまでなら許されるのか、合格を目指すための現実的な考え方を解説します。

ITパスポートの擬似言語とは?

まずは、ITパスポートに出てくる擬似言語がどのようなものかを整理しておきましょう。

擬似言語とは、特定のプログラミング言語ではなく、アルゴリズムの流れを表すための試験用の書き方です。PythonやJavaそのものではありませんが、変数、条件分岐、繰返しといった考え方はプログラミングに近いです。

IPAのシラバスでも、ITパスポートではアルゴリズムの基本的な考え方と、擬似言語などによる表現方法を理解することが求められています。

とはいえ、基本情報技術者試験の科目Bほど深く難しい内容が中心になるわけではありません。ITパスポートでは、まずは処理の流れをざっくり読み取れるかが大切です。

擬似言語で問われる力

擬似言語の問題で問われるのは、プログラミング言語の文法を暗記しているかではありません。

大切なのは、上から順番に処理を読み、変数の値がどう変わるかを追いかける力です。たとえば、次のような処理を見てみましょう。

整数型: x ← 2
整数型: y ← 5

x ← y
y ← x + 3

最初、xは2、yは5です。

その後、xにyの値が代入されるので、xは5になります。最後に、yにはx + 3の結果が入るので、yは8になります。

ここで大切なのは、x ← y を左右が等しいという意味で読まないことです。これは、右側の値を左側の変数に入れるという意味です。

このような小さなルールを知っているだけで、擬似言語への苦手意識はかなり減ります。

擬似言語の基本から確認したい方は、先にこちらの記事も参考にしてください。

【関連記事】擬似言語とは?IT初心者にもわかる意味・書き方・プログラミングとの違いをやさしく解説

ITパスポートで擬似言語は捨ててもいいのか

ITパスポートで擬似言語は捨ててもいいのか。ここが一番気になるところだと思います。

擬似言語が苦手な人にとっては、時間をかけても点が伸びにくいなら、ほかの分野に時間を使った方がいいのでは?と感じますよね。その考え方は、半分正しいです。

ITパスポートは範囲が広い試験です。経営戦略、法務、プロジェクトマネジメント、セキュリティ、ネットワーク、データベースなど、学ぶことはたくさんあります。

そのため、擬似言語だけに時間を使いすぎるのは効率が悪いです。

ただし、完全に捨てるのは危険です。理由は、擬似言語がテクノロジ系に含まれているからです。

捨てるではなく深追いしないが正解

ITパスポートの擬似言語対策でおすすめなのは、捨てるか捨てないかの二択で考えないことです。

目指すべきなのは、基礎だけ押さえて深追いしないという状態です。

たとえば、変数、代入、条件分岐、繰返し、配列の基本が読めれば、簡単な問題には対応できます。逆に、難しい問題を完璧に解こうとして何時間も悩む必要はありません。

合格を目指す試験対策では、満点を取る勉強ではなく、合格点を超える勉強をすることが大切です。

ITパスポートの出題バランスを確認しよう

ITパスポートは、1つの分野だけで決まる試験ではありません。

公式情報では、出題分野はストラテジ系が35問程度、マネジメント系が20問程度、テクノロジ系が45問程度です。テクノロジ系の比重は大きめですが、その中にも基礎理論、コンピュータ構成、ネットワーク、データベース、セキュリティなどがあります。

整理すると、次のようなイメージです。

分野 出題数の目安 内容 擬似言語との関係
ストラテジ系 35問程度 経営戦略、法務、企業活動など ほぼ関係なし
マネジメント系 20問程度 プロジェクト管理、サービス管理など ほぼ関係なし
テクノロジ系 45問程度 IT技術、基礎理論、セキュリティなど 擬似言語が含まれる

この表を見ると、擬似言語だけで試験全体が決まるわけではないとわかります。

一方で、テクノロジ系を丸ごと苦手にしてしまうと、分野別評価点の基準に届かない可能性があります。だから、擬似言語はゼロにするのではなく、最低限の得点源にするくらいの気持ちで取り組むのがおすすめです。

擬似言語を完全に捨てるリスク

では、擬似言語を完全に捨てると何がまずいのでしょうか。

一番のリスクは、テクノロジ系への苦手意識が広がってしまうことです。擬似言語を避け続けると、アルゴリズム、データ構造、プログラミング的思考までまとめて苦手に感じやすくなります。

ITパスポートでは、用語暗記だけで解ける問題も多いです。しかし、テクノロジ系では考え方を問う問題も出ます。

1問を落とすだけでは済まないことがある

擬似言語の問題そのものが数問だったとしても、関連する考え方はほかの問題にもつながります。

たとえば、配列を知らないとデータ構造がわかりにくくなります。条件分岐がわからないと、処理の流れを問う問題で迷いやすくなります。

つまり、擬似言語は単独の暗記項目ではなく、テクノロジ系の土台になりやすい分野です。

だからこそ、難しい問題を完璧にしなくても、基本だけは押さえる価値があります。

分野別300点の壁を意識する

ITパスポートの合格基準では、総合評価点だけでなく、各分野の分野別評価点も見られます。

総合で600点以上を取れていても、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系のどれかが300点未満だと合格できません。

擬似言語が苦手な人は、テクノロジ系全体に苦手意識を持っていることも多いです。ネットワーク、データベース、2進数、セキュリティも苦手だと、テクノロジ系の点数が不安定になります。

その状態で擬似言語を完全に捨てると、余裕がなくなります。

合格を安定させたいなら、擬似言語で満点を狙う必要はありません。ただ、簡単な問題を拾えるくらいにはしておきましょう。

IT初心者はどこまで勉強すればいい?

では、IT初心者は擬似言語をどこまで勉強すればよいのでしょうか。

おすすめは、次の5つに絞ることです。いきなり難しいアルゴリズムや複雑な配列処理までやろうとしなくて大丈夫です。

優先度 学ぶ内容 目標
代入 矢印の意味を理解する
変数 値が変わる箱として読める
条件分岐 ifの条件で処理が分かれるとわかる
繰返し 何回実行されるか数えられる
配列 何番目のデータかを追える
難しい整列や探索 時間があれば触れる

この表の上から順番に学べば、かなり効率よく対策できます。

特に、代入と繰返しは重要です。擬似言語が読めない原因の多くは、代入で値が変わる感覚が弱いことと、繰返しで何回処理されるのかを追えないことにあります。

代入を理解する

擬似言語では、代入をしっかり理解することが最初の壁です。

整数型: a ← 10
整数型: b ← 3

a ← b
b ← a + 2

この処理では、最後のaは3、bは5です。

最初のaは10でしたが、途中でbの値が入るので3に変わります。その後、bにはa + 2が入るため、5になります。

ここで、最初のaが10だったことに引っ張られると間違えます。擬似言語では、変数の現在の値を追うことが大切です。

条件分岐を理解する

条件分岐は、条件によって処理を変える仕組みです。

たとえば、点数が60点以上なら合格、そうでなければ不合格とする処理を考えてみます。

整数型: score ← 72
文字列型: result

if (score が 60 以上)
  result ← "合格"
else
  result ← "不合格"
endif

scoreは72なので、60以上という条件を満たします。そのため、resultには合格が入ります。

条件分岐では、条件を満たすかどうかを一つずつ確認します。焦って全部を読もうとせず、今どの条件を見ているのかを意識しましょう。

繰返しを理解する

繰返しは、初心者が一番つまずきやすいところです。

理由は、同じ処理が何度も実行され、変数の値が毎回変わるからです。ここでは、1から3まで足し算する処理を見てみましょう。

整数型: i
整数型: total ← 0

for (i を 1 から 3 まで 1 ずつ増やす)
  total ← total + i
endfor

この処理では、iが1、2、3と変化します。

totalは、最初0です。1回目で1、2回目で3、3回目で6になります。最後のtotalは6です。

頭の中だけで追おうとすると混乱しやすいので、最初は表を書きましょう。

回数 i total
初期値 - 0
1回目 1 1
2回目 2 3
3回目 3 6

このように変数の変化を書き出すことを、トレースといいます。

擬似言語が苦手な方は、以下の記事もあわせて読んでみてください。

【関連記事】擬似言語が難しいと感じる原因は?3つの解決策を解説します!

合格を目指す人の擬似言語対策

ここからは、ITパスポートで合格を目指す人向けに、現実的な勉強の進め方を紹介します。

擬似言語は、読むだけで上達する分野ではありません。短い処理を見て、実際に変数を書き出す練習が必要です。

ただし、何十時間もかける必要はありません。試験全体のバランスを考えながら、必要な分だけ対策しましょう。

まずは記号を覚える

最初にやるべきことは、擬似言語の記号に慣れることです。

は代入、if は条件分岐、forwhile は繰返しです。これだけでも、問題文の読みやすさが大きく変わります。

記号を知らないまま問題を解くと、英語の文章を辞書なしで読むような状態になります。

まずは、よく出る記号をざっくり覚えましょう。完璧に暗記するというより、見たときに意味が思い出せる状態を目指せば十分です。

記号を一覧で確認したい方は、こちらの記事が役立ちます。

【関連記事】擬似言語の記号・記述形式一覧|試験前のチェック早見表

短いコードで練習する

次に、短いコードを使って練習します。

いきなり長い問題を解くと、どこで間違えたのかがわかりにくくなります。最初は、3行から5行くらいの処理で十分です。

整数型: x ← 1
整数型: y ← 2

x ← x + y
y ← x + y

この場合、xは最初1、yは2です。

3行目でxは3になります。4行目では、現在のxが3、yが2なので、yは5になります。

このように、1行ずつ現在の値を確認する癖をつけましょう。地味ですが、これが一番効きます。

過去問風の問題で慣れる

基本がわかってきたら、過去問風の問題に取り組みます。

ここで大事なのは、正解したかどうかだけを見ないことです。なぜその答えになるのか、どの変数がどう変わったのかを説明できるかを確認しましょう。

解説を読んでわかった気になることはよくあります。

でも、本番では自分で読まないといけません。だから、解説を読んだ後にもう一度、自分の手でトレースしてみるのがおすすめです。

エンジニア歴10年の私が思う捨てる判断

ここで、少し実務目線の話をします。

エンジニアとして10年ほどコードを読んだり書いたりしてきて感じるのは、プログラムを読む力は一気に身につくものではないということです。最初から速く読める人はほとんどいません。

私自身も、複雑な処理を読むときは今でも変数を書き出します。

実務では、システムの不具合を調べるときに、どの条件で処理が分かれたのか、どの値がどこで変わったのかを丁寧に追います。これは、ITパスポートの擬似言語でやっていることとかなり近いです。

だから、擬似言語の学習は試験のためだけではありません。

ITの仕事や、これから基本情報技術者試験に進むときにも役立ちます。特に基本情報技術者試験を将来的に受けたい方は、ITパスポートの段階で少しでも擬似言語に慣れておくとかなり楽になります。

ただし、試験前で時間がないなら話は別です。

その場合は、難しい問題を深追いせず、基礎だけ確認してほかの得点しやすい分野に時間を回しましょう。捨てるのではなく、最低限だけ拾う。この考え方が現実的です。

試験直前ならどうするべきか

試験まで時間がない場合、擬似言語にどれくらい時間を使うか迷いますよね。

直前期なら、新しい難問に手を出すより、基本処理の確認を優先しましょう。代入、if、for、配列の4つだけでも復習しておくと、まったく読めない状態は避けられます。

直前期の優先順位

直前期は、次のような優先順位で考えるとよいです。

残り時間 擬似言語の対策方針
1か月以上 基礎から問題演習まで取り組む
2週間 代入、条件分岐、繰返し、配列を重点的に復習
1週間 短い問題をトレースして、読み方を確認
前日 記号と典型パターンだけ確認
当日 難問にこだわらず、解ける問題を優先

試験直前に一番避けたいのは、擬似言語の難問で自信をなくすことです。

ITパスポートは幅広い分野から出題されます。擬似言語で1問迷っても、ほかに取れる問題はたくさんあります。

本番では、わからない問題に時間を使いすぎないことも大切です。

擬似言語の問題で手が止まったら、いったん飛ばして、後から戻る判断も必要です。合格する人は、難問を全部解ける人ではなく、取れる問題を落とさない人です。

擬似言語が苦手な人におすすめの考え方

擬似言語が苦手な人は、自分には向いていないのかもと思ってしまうことがあります。

でも、苦手に感じるのは自然です。プログラムは、普段の文章とは読み方が違うからです。

日本語の文章なら、前から読めばだいたい意味がつながります。しかし、擬似言語では、変数の値を覚えながら、条件を確認し、繰返しの回数も数える必要があります。

慣れていないと難しく感じて当然です。

読めないのではなく慣れていないだけ

擬似言語が読めないと感じる人の多くは、能力がないわけではありません。

単純に、読み方を知らないだけです。問題文を前からなんとなく読むのではなく、変数、条件、繰返しを分けて見るだけで、かなり読みやすくなります。

最初はゆっくりで大丈夫です。

1問に時間がかかっても、正しく追える経験を積むことが大切です。その積み重ねで、少しずつ処理の流れが見えるようになります。

まとめ

ITパスポートの擬似言語は、苦手なら完全に捨てたくなる分野です。

ただ、合格を安定させたいなら、完全に捨てるのはおすすめしません。テクノロジ系の一部として出題されるうえ、アルゴリズムやデータ構造の理解にもつながるからです。

とはいえ、難しい問題を完璧に解く必要もありません。

ITパスポートでは、基礎だけ押さえて、簡単な問題を拾うという考え方で十分です。代入、変数、条件分岐、繰返し、配列の基本を確認し、短い問題でトレースの練習をしましょう。

擬似言語は、最初は誰でも読みにくいです。

でも、1行ずつ処理を追う練習をすれば、少しずつ見えるようになります。捨てるかどうかで悩むより、まずは小さなコードを1つ読んでみるところから始めてみてください。

ITパスポートの合格を目指すなら、擬似言語は敵ではありません。最低限の対策で、合格に近づくための得点源に変えていきましょう。

参考情報

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