基本情報 科目Bの参考書はどう選ぶ?初心者・擬似言語が苦手な人向けの基準

公開日: 2026-08-20

科目Bの参考書、どれを買えばいいのか分からない。

書店の資格コーナーで、同じような表紙を何冊も開いては閉じた経験はありませんか?

どれも良さそうに見えて、どれも同じに見える。レビューを読んでも評価が割れていて、結局その日は買わずに帰ってきた。そんな話をよく聞きます。

でも大丈夫です。科目Bの参考書は、選ぶ基準さえ決めてしまえば、その場で15分もあれば絞り込めます。

私はエンジニアとして10年以上、Webシステムの開発や運用に携わってきました。新しい技術書を選ぶときは、目次ではなく、いちばん苦手な章を先に開いて読めるかどうかで判断しています。

参考書の良し悪しは、得意な部分の説明では分かりません。自分がつまずいている場所がどう書かれているかに、その本の性格が出ます。

この記事では、擬似言語が苦手な人が科目Bの参考書を選ぶときに見るべき場所を、順番に説明していきます。

科目Bの参考書選びが難しい理由

まず、なぜ迷うのかをはっきりさせておきましょう。原因は選択肢の多さではなく、判断の軸が決まっていないことにあります。

科目Bは20問のうち16問がアルゴリズムとプログラミング、残り4問が情報セキュリティという構成です。全体の8割が擬似言語を読む問題だと考えてください。

この配分を知らないまま選ぶと、科目Aと科目Bをまとめた総合対策本を1冊買って終わりにしてしまいます。それが悪いわけではありませんが、擬似言語の解説量は薄くなりがちです。

科目Aと同じ基準で選ぶと外す

科目Aの参考書は、収録されている用語の数と過去問の量で選んで大きくは外しません。覚える量がそのまま得点になる試験だからです。

科目Bはここが違います。読む力を育てる本なので、扱っている問題数より、1問をどれだけ丁寧に解きほぐしているかのほうが効きます。

たとえば同じ200ページでも、問題を100問詰め込んだ本と、30問を図とトレースで説明した本では、初心者に向く方向がまったく変わります。前者は演習に入ってから、後者は今すぐ役に立つ本です。

自分が今どちらの段階にいるのかを決めてから探すと、迷う時間が一気に減ります。

科目Bという試験そのものの全体像がまだあいまいな人は、先にこちらを読んでおくと基準が作りやすくなります。

【関連記事】基本情報技術者試験の科目Bとは?擬似言語・アルゴリズム対策を初心者向けに解説

合格できる1冊を探すのをやめる

もう一つの落とし穴が、これさえやれば受かる1冊を探してしまうことです。その本は存在しません。

参考書が埋められるのは、あなたに足りていない一段だけです。記法が読めないなら記法の本、読めるけれど解けないなら演習の本というように、段ごとに役割が分かれています。

私自身、仕事で新しい分野を学ぶときは、入門書と実践書を別々に買うようにしています。1冊で全部をまかなおうとすると、どちらも中途半端になるからです。

科目Bの勉強を段階に分けて進める考え方は、こちらの記事で順番から整理しています。

【関連記事】基本情報技術者試験 科目Bの勉強法|初心者が合格までにやることを順番に解説

参考書を選ぶ5つの基準

ここからが本題です。実際に本を手に取ったときに、どこを見ればいいのかを5つに絞りました。

上から順に重要度が高い順に並べています。全部を満たす本は少ないので、上の3つが満たせていれば十分だと考えてください。

基準 見る場所 満たしていると分かること
記法の解説量 目次の最初のほう 擬似言語の記号を1から説明しているか
トレースの見せ方 解説ページの図表 変数の動きを誌面で追えるか
演習量と解説の厚さ 巻末や別冊 問題数と1問あたりの説明のバランス
図とレイアウト 適当な見開き 自分が読み続けられる誌面か
セキュリティの扱い 章立ての後半 4問分に必要な範囲が入っているか

この5つは、どれもレビューや紹介記事からは判断しにくい項目です。実物を開くか、試し読みで中身を確認する必要があります。

順番に説明していきます。

基準1:擬似言語の記法にページを割いているか

最初に見るのは、擬似言語の記号そのものの説明です。ここが薄い本は、初心者向けをうたっていても初心者向けではありません。

具体的には、代入を表す矢印、繰返しの書き方、宣言の読み方が、それぞれ独立した項目として説明されているかを確かめます。1ページの一覧表だけで済ませている本は、すでに読める人向けです。

擬似言語が苦手だという自覚がある人ほど、ここの厚みで選んでください。読めない状態で演習に進んでも、解説を書き写す時間になってしまいます。

記法をまず一覧で押さえておきたいときは、こちらの早見表が手元の確認に使えます。

【関連記事】擬似言語の記号・記述形式一覧|試験前のチェック早見表

基準2:トレースの過程が誌面に載っているか

次に見るのが、変数の値を追う過程が誌面に出ているかどうかです。ここが参考書の良し悪しをいちばん分けます。

答えだけを示して、なぜそうなるかを文章で説明している本は、読んだ瞬間は分かった気になります。ところが自分で解こうとすると手が止まります。

たとえば、次のような配列の中から最大値を探すコードがあったとします。科目Bでよく出る形の一つです。

○整数型: 最大値を求める(整数型の配列: 数値)
  整数型: 最大 ← 数値[1]
  整数型: i
  for (i を 2 から 数値の要素数 まで 1 ずつ増やす)
    if (数値[i] > 最大)
      最大 ← 数値[i]
    endif
  endfor
  return 最大

良い参考書は、このコードに具体的な値を入れて、変数の動きを表で見せてくれます。数値に4と9と2と7が入っている場合なら、次のような形です。

繰返し i 数値[i] 比較の結果 最大
開始前 4
1回目 2 9 9 > 4 は真 9
2回目 3 2 2 > 9 は偽 9
3回目 4 7 7 > 9 は偽 9

この表が誌面にあるかどうかで、独学のしやすさは大きく変わります。書店で1問だけ、こういう表が載っているかを確かめてみてください。

トレース表の書き方そのものを先に身に付けたい人は、こちらで手順を確認できます。

【関連記事】擬似言語のトレース表の書き方|科目Bで変数の値を追う手順を解説

基準3:演習量と解説の厚さのバランス

3つ目は、問題数と解説の量の釣り合いです。ここは自分の段階によって、望ましい比率が変わります。

擬似言語をまだ読めない段階なら、問題数は少なくてかまいません。1問に4ページ使っているような本のほうが、確実に前へ進めます。

一方、読めるようになってからは逆になります。同じ型の問題を数多くこなすほうが、本番での速さにつながるからです。

段階ごとの目安を表にまとめました。今の自分がどこにいるかを当てはめて選んでみてください。

今の状態 望ましい構成 選び方の目安
記号がまだ読めない 解説が厚く問題は少なめ 1問あたり2ページ以上
読めるが解けない 解説と演習が半々 章ごとに例題と練習問題がある
解けるが時間が足りない 演習中心 本番形式の問題がまとまっている

自分の段階が判断しにくいときは、書店で適当な1問を選んで解いてみるのが早いです。手が動かなければ最初の行、動くけれど時間がかかるなら真ん中の行にいます。

基準4:図とレイアウトが自分に合っているか

4つ目は、読み続けられる誌面かどうかです。相性の問題なので、他人の評価はあまり参考になりません。

科目Bの参考書は、最後まで開かれずに本棚に戻る率が高い本です。内容の正しさより、自分が毎日開ける見た目かどうかを優先してかまいません。

文字が詰まっているほうが安心する人もいれば、余白が多く図が大きいほうが進む人もいます。開いた瞬間に読む気がしないと感じたら、その本は合っていません。

判断に迷ったら、目次ではなく本文の見開きを3か所ほど開いてみてください。3か所とも読めそうだと感じたなら、その本は最後まで使えます。

基準5:情報セキュリティの4問をどこまで扱うか

最後は情報セキュリティです。優先度は下げてかまいませんが、まったく触れていない本だと別に用意する必要が出てきます。

科目Bのセキュリティは、状況が書かれた文章を読んで、何が問題なのかを判断する形が中心になります。用語の暗記だけでは正解にたどり着けません。

実務でも、守りたいものは何で、誰に触らせたくないのかを先に決めてから対策を選びます。参考書も、この読み取り方を教えてくれるものを選びたいところです。

擬似言語の対策本にセキュリティが数十ページ付いている程度でも、科目A対策と合わせれば十分間に合います。ここだけのために2冊目を買う必要は、多くの場合ありません。

書店で15分で確かめる手順

基準が決まったら、あとは実際に手を動かすだけです。私が技術書を選ぶときにやっている手順を、科目B向けに整えました。

まず、目次で擬似言語の記法にどれだけページが割かれているかを見ます。ここが章の1つ分に満たない本は、この時点で候補から外して問題ありません。

次に、解説ページを開いてトレースの表を探します。見つからなければ棚に戻し、見つかった本だけを手元に残してください。

最後に、残った本の中から1問を選んで、解説を読まずに自分で解いてみます。解けなくてもかまいません。

大事なのは、そのあと解説を読んだときに、なぜ間違えたのかが分かるかどうかです。分からなければ、その本はまだ自分には早いということになります。

この3手順で残った本なら、どれを選んでも大きくは外しません。悩む時間を減らして、勉強を始めるほうへ回しましょう。

買ったあとに迷わないための決めごと

買う前だけでなく、買ったあとの扱いも決めておくと安心です。参考書を何冊も買い足してしまう人には、共通した理由があります。

いちばん多いのが、途中で難しく感じて別の本に逃げてしまうことです。分からない箇所は本のせいではなく、その手前の段が抜けているだけということが少なくありません。

そこで、買った時点で次の2つを決めておいてください。1周目は分からない箇所に印を付けて飛ばし、2周目で戻ってくる、という進め方です。

もう一つは、買い替えを検討する条件をあらかじめ決めておくことです。3章まで進めて一度も理解できた実感がないなら、そのときは段階が合っていないと判断してかまいません。

条件を先に決めておくと、進みが遅い日でも不安になりにくくなります。参考書を替えるかどうかで悩む時間は、そのまま勉強時間を削ってしまうからです。

参考書と過去問はどう組み合わせるか

参考書が決まったら、次に気になるのが過去問との併用でしょう。科目Bは公開されている問題が限られているので、使い方に少し工夫が要ります。

おすすめの順番は、参考書を1周してから公開問題に触れる形です。読む力が付く前に本番の問題を消費してしまうのは、もったいない使い方になります。

参考書の例題で手が動くようになってから、実際の出題に当たってみてください。そこで初めて、自分の読み方がどこまで通用するかが分かります。

公開問題の入手先や使い方は、こちらの記事で整理しています。

【関連記事】基本情報 科目Bの過去問はどこで解ける?公開問題の使い方と勉強法

参考書だけでは埋まらない部分がある

ここまで選び方を書いてきましたが、正直に言っておきたいことがあります。参考書には、どうしても埋められない部分があります。

紙の上のトレース表は、完成した結果しか見せてくれません。値がどの瞬間に書き換わったのかという動きは、静止した誌面では追いきれないのです。

私が新人にコードの読み方を教えるときも、説明を重ねるより、実際に1行ずつ動かして見せたほうが早く伝わりました。動きは、動かして見るのがいちばん速いということです。

Giji Academy の擬似言語シミュレーターなら、参考書に載っているコードを打ち込んで、1行ずつ進めながら変数の値が変わる瞬間を目で追えます。

使い方でおすすめなのは、自分が書いたトレース表と画面の値を突き合わせることです。ずれた場所が、そのまま自分の弱点になります。

参考書とシミュレーターは、競合するものではありません。読んで理解した内容を、動かして確かめる関係だと考えてください。

独学で進める人ほど、この確かめる手段を持っているかどうかが効いてきます。

【関連記事】擬似言語を独学で習得できる?初心者が基本情報科目Bで読めるようになる勉強法

まとめ

最後に、この記事の内容を振り返ります。

科目Bは20問中16問がアルゴリズムとプログラミングなので、参考書も擬似言語をどう扱っているかで選びます。科目Aと同じく収録量で選ぶと、手元に残らない1冊になりがちです。

見るべきは5つでした。記法の解説量、トレースの見せ方、演習量と解説のバランス、図とレイアウト、セキュリティの扱いです。

このうち上の3つ、特にトレースの表が誌面にあるかどうかが、独学の進みやすさを大きく左右します。書店では目次より本文を開いてください。

そして、1冊で全部をまかなおうとしないことです。今の自分に足りない一段を埋める本を選べば、それで十分に前へ進めます。

参考書選びに時間をかけすぎないほうが、結果的に合格は近づきます。今日はまず、手元の1冊を開いて、短いコードのトレース表を書くところから始めてみましょう。

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