基本情報の参考書はどう選ぶ?おすすめの基準と古い版の扱いを解説

公開日: 2026-09-06

参考書、結局どれを買えばいいんだろう。

書店やネットで見比べているうちに、時間だけ過ぎていませんか?

基本情報技術者試験の参考書は種類が多く、どれも良さそうに見えます。分厚いものから、図が多いものまで並んでいます。

そして困ったことに、どれを選んでも合格した人はいます。だから口コミを読んでも、決め手が見つかりません。

私はエンジニアとして10年以上、Webシステムの開発や運用に携わってきました。新人研修で資格取得を手伝う機会も何度かあり、そのたびに教材選びの相談を受けてきました。

そこで見えてきたのは、良い参考書があるというより、その人の状態に合う参考書がある、ということです。同じ本でも、合う人と合わない人がはっきり分かれます。

この記事では、書名を並べる代わりに、自分に合う1冊を見分ける基準をお伝えします。選び方が分かれば、書店で迷う時間は10分ほどで済みます。

ネットワークが苦手で分野ごと手が止まっている、という人もいるかもしれません。その場合は参考書より先に、つまずいている場所を切り分けたほうが早いです。

【関連記事】基本情報のネットワークが難しい人へ|つまずく場所と問題の解き方

参考書選びで失敗する3つのパターン

まず、よくある失敗から見ていきましょう。ここを避けるだけで、選択肢はかなり絞られます。

相談を受けてきたなかで、うまくいかなかった人には共通点がありました。順に確かめてみてください。

失敗パターン 何が起きるか 代わりにやること
分厚さで安心する 読み終わらないまま試験日が来る 目次から自分に要る章を数える
評価の数だけで決める 自分と違う立場の人の評価を信じてしまう 評価を書いた人の前提を読む
科目Aだけで選ぶ 科目Bの対策が手薄になる 擬似言語の章を先に開いて確かめる

3つとも、本の質が悪いから失敗したわけではありません。自分の状態と本の中身が噛み合っていなかっただけです。

順番に見ていきます。特に3つ目は、この試験ならではの落とし穴です。

分厚さで安心してしまう

網羅されている本を選べば安心、と考えたくなります。ところが実際は、読み終わらないまま日数が過ぎることが多いのです。

途中で止まった参考書は、1ページも読まなかった本と結果が同じになってしまいます。それどころか、進まない自分に焦りが生まれます。

だから最初に見るのは、厚さではなく目次です。自分が知らない項目がどのくらいあるかを数えて、読み切れる量かを判断してください。

網羅性が要るのは、試験範囲を最後に埋める段階です。最初の1冊は、通して読み切れることを優先したほうがうまくいきます。

レビューの評価だけで決める

高い評価がついている本は、たしかに良い本であることが多いです。ただ、その評価を書いた人が自分と同じ立場とは限りません。

プログラミング経験がある人にとって分かりやすい本は、未経験の人には説明が足りないことがあります。逆も同じです。

評価を読むときは、点数ではなくその人の前提を探してください。どのくらいの知識から始めて、何が分かりやすかったと書いているかが判断材料になります。

科目Aの内容だけで選んでしまう

これがいちばん多い落とし穴です。参考書の大部分は科目Aの知識に割かれていて、科目Bの扱いは本によって差が大きくなります。

科目Bは擬似言語を読んで解く試験なので、用語を覚えるだけでは点が伸びません。ところが選ぶ段階では、そこまで意識が向かないのです。

書店で手に取ったら、まず擬似言語の章を開いてください。説明が数ページで終わっているなら、その本だけでは科目B対策は足りません。

科目Bに絞った参考書の選び方は、専用の記事で詳しく扱っています。

【関連記事】基本情報 科目Bの参考書はどう選ぶ?初心者・擬似言語が苦手な人向けの基準

参考書を選ぶときの4つの基準

失敗のパターンが分かったところで、実際に何を見て選ぶかを決めましょう。書店で立ち読みする数分で確かめられることばかりです。

私が相談されたときに伝えているのは、次の4つです。上から順に重要度が高い並びになっています。

基準 確かめ方 この基準が効く人
擬似言語の解説量 擬似言語の章のページ数を数える プログラミング未経験の人
図と具体例の多さ 知らない用語のページを開いて読む 文章だけだと頭に入らない人
演習問題の位置 章末に問題があるか確かめる 読むだけで満足しがちな人
説明の順番 目次が知識の積み上げ順か見る 独学で進める人

この4つのうち、どれを優先するかは自分の状態で変わります。全部を満たす本を探すより、いちばん困っている項目を満たす本を選ぶほうが早いです。

擬似言語の解説量を最優先で見る

未経験から始める人にとって、いちばんつまずくのは擬似言語です。ここに十分なページが割かれているかどうかで、その後の進み方が変わります。

見るべきなのはページ数だけではありません。変数や繰返しの説明に、実際のコードと結果の対応が書かれているかを確かめてください。

文法の一覧だけが載っている本は、辞書としては使えますが、初めて学ぶ本には向きません。1本のコードを追いながら説明が進む形になっているかが分かれ目です。

実務でも同じで、新人に読ませて伸びるのは、コードを一行ずつ追う形の教材でした。仕様の一覧だけを渡しても、書けるようにはならないのです。

図と具体例の多さを見る

自分が知らない用語のページを開いて、その場で読んでみてください。読んで意味が取れるなら、その本は自分に合っています。

このとき、分かりやすそうかどうかではなく、実際に分かったかどうかで判断するのがコツです。数分の立ち読みが、数か月の勉強効率を決めます。

具体例が身近な場面で書かれている本は、記憶にも残りやすくなります。抽象的な説明が続く本は、ある程度の下地がある人向けです。

演習問題がどこに置かれているかを見る

意外と見落とされるのが、問題がどこに載っているかです。章末にあるのか、巻末にまとめてあるのかで、使い勝手が変わります。

読むだけで満足しがちな人には、章末に問題がある本が向いています。読んだ直後に解くと、分かったつもりだった部分がその場で見つかるからです。

巻末にまとめてある本は、通読してから演習に入りたい人向けです。自分がどちらのやり方で続けられるかを考えて選んでください。

解説の丁寧さも一緒に確かめておくと安心です。答えの番号だけが並ぶ形だと、間違えた理由が分からないまま進んでしまいます。

古い版の参考書は使えるのか

手元に古い版がある、あるいは中古で安く手に入る、という場面もあると思います。ここは判断が分かれるところです。

結論を先に言うと、内容によって使える部分と使えない部分があります。ひとまとめに使える、使えないと決めないほうがよいです。

判断の目安を表にしました。自分が持っている本がどの状態かを確かめてみてください。

内容 古い版でも使えるか 理由
擬似言語の基本文法 おおむね使える 考え方そのものは変わりにくい
アルゴリズムやデータ構造 使える 普遍的な内容が中心
試験制度・出題形式の説明 確認が必要 制度は改定されることがある
法律・制度に関わる用語 確認が必要 内容が更新される場合がある

古い版で気をつけたいのは、知識そのものより試験の形式に関する記述です。出題数や時間の説明は、必ず最新の公式情報で確かめてください。

私は実務でも、古い技術書を捨てずに使っています。考え方を学ぶ部分は古びませんが、手順や仕様の部分は必ず最新の資料で確認する、と使い分けています。

制度の情報は公式で確かめる

参考書に書かれた出題数や試験時間は、その本が出た時点の情報です。試験制度は変わることがあるので、ここだけは本を信じきらないでください。

確かめ先は、試験を実施しているIPAの公式サイトです。申し込みの手順や当日の流れも、公式の案内が最新になります。

この確認は5分で終わります。参考書を開く前に一度だけやっておけば、あとは安心して読み進められます。

中古で買うかどうかを迷っているなら、値段の差と確認の手間を比べてみてください。数百円の差なら、最新版を選んで確認の手間をなくすほうが気持ちよく進められます。

すでに手元にある本なら、わざわざ買い直す必要はありません。制度の説明部分だけ公式で上書きすれば、十分に戦えます。

何冊そろえればいいのか

もう一つよく聞かれるのが、冊数の話です。1冊で足りるのか、それとも科目別に分けるべきか、という悩みです。

これも状態によって変わります。目安を表にしたので、自分に近いところを見てください。

今の状態 参考書の構成 補い方
完全に初めて 全体の入門書1冊 擬似言語は別の教材で補う
科目Aは進んでいる 科目B・擬似言語に特化した1冊 過去問演習を並行する
一度受けて落ちた 苦手分野に絞った1冊 間違えた原因を先に分析する

共通しているのは、最初から何冊も買わないことです。読み切れる量を持って、足りない部分が見えてから足すほうが失敗しません。

何冊も並べると、どれも中途半端になりやすくなります。同じ内容を別の言い方で読み直すより、1冊を2周するほうが記憶に残ります。

足りない部分を補うときも、必ずしも紙の本である必要はありません。擬似言語のように手を動かして覚えたい分野は、動かせる教材のほうが向いています。

参考書と過去問演習をどう組み合わせるかは、別の記事で整理しています。

【関連記事】基本情報は過去問道場だけで合格できる?科目Aと科目Bで変わる答え

買ったあと、参考書をどう読むか

選び方より大事なのが、買ったあとの使い方です。ここを間違えると、どんな良書でも力になりません。

いちばんもったいないのは、最初から順に読んで満足してしまう読み方です。読んだ内容は、手を動かさないと驚くほど残りません。

特に擬似言語の章は、必ず紙に書きながら読んでください。載っているコードを写して、変数の値を1行ずつ追う作業です。

たとえば、こんな短いコードでも十分に練習になります。参考書に出てくる例題は、たいていこの形をしています。

○整数型: goukei(整数型の配列: data)
  整数型: i, wa
  wa ← 0
  for (i を 1 から dataの要素数 まで 1 ずつ増やす)
    wa ← wa + data[i]
  endfor
  return wa

このコードを読むとき、目で追うだけで終わらせないでください。dataに具体的な数を入れて、iとwaがどう変わるかを表に書き出します。

配列に3、5、2が入っていたとして、1回目でwaは3、2回目で8、3回目で10になります。この数字を自分の手で書けたなら、繰返しの読み方は身についています。

参考書の解説を読んで分かった気になるのと、値を追って確かめるのとでは、定着がまったく違います。実務でも、コードの理解が怪しいときは同じことをします。

科目Bという試験そのものの形をつかんでおくと、参考書のどこを重点的に読むかも決めやすくなります。

【関連記事】基本情報技術者試験の科目Bとは?擬似言語・アルゴリズム対策を初心者向けに解説

読む順番を決めておく

参考書は、必ずしも最初のページから読む必要はありません。試験の配点や自分の苦手を考えて、順番を組み替えて構いません。

未経験から始めるなら、擬似言語の章を先に開くのが有効です。ここは伸びるまでに日数がかかるので、早く始めたほうが有利になります。

科目Aの知識は、後半でも詰められます。暗記に近い部分は、直前期に集中させるほうが記憶が残ります。

この順番で進めると、序盤は手応えが薄く感じるかもしれません。それでも、擬似言語が読めるようになった時点で全体の景色が変わります。

試験の全体像から確認したい人は、こちらの記事から読んでみてください。

【関連記事】基本情報技術者試験とは?試験内容・難易度・勉強法を初心者向けに解説

まとめ

参考書は、書名で選ぶより自分の状態に合わせて選ぶほうが失敗しません。厚さや評価の数は、判断の主役にはならないということでした。

見るべきは、擬似言語の解説量、図と具体例の多さ、演習問題の位置、説明の順番の4つです。書店で数分立ち読みすれば確かめられます。

古い版は、考え方の部分なら十分に使えます。ただし試験制度に関わる記述だけは、公式の情報で確かめてください。

そして冊数は、最初は1冊で構いません。読み切ってから足りない部分を足すほうが、結果として早く進みます。

迷っている時間が長いほど、勉強に使える日数は減っていきます。基準に照らして選べたなら、その1冊で進めて大丈夫です。

良い参考書を選ぶことより、選んだ1冊を手を動かしながら読み切ることのほうが、合格には効いてきます。1冊決まったら、あとは開く回数を増やしていきましょう。

擬似言語のコードを実際に動かしながら確かめたい人は、Giji Academyの擬似言語シミュレーターも使ってみてください。参考書で読んだ内容が、画面の動きとつながります。

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