基本情報技術者試験の合格率は?数字の読み方と対策への活かし方
合格率を調べたけれど、結局それが高いのか低いのか分からない。
数字を見たあと、少しだけ不安になりませんでしたか?
合格率は、試験を調べ始めた人が最初にぶつかる数字です。それなのに、見たあとに何をすればいいかまでは、たいてい書かれていません。
先にお伝えすると、基本情報技術者試験の合格率は近年おおむね4割前後で推移しています。ただ、この数字をそのまま自分の合格しやすさだと受け取ると、判断を誤ります。
私はエンジニアとして10年以上、Webシステムの開発や運用に携わってきました。数字を扱う仕事を続けてきて痛感するのは、割合は分母を確かめないと意味を持たない、ということです。
資格の相談を受けるときも同じです。合格率の高低より、その6割がどこで止まったのかを知るほうが、はるかに役に立ちます。
この記事では、合格率という数字の中身をほどいて、明日からの勉強に落とし込むところまでお伝えします。試験そのものの全体像を先に押さえたい人は、親記事から読むと話がつながります。
【関連記事】基本情報技術者試験とは?試験内容・難易度・勉強法を初心者向けに解説
結論:4割前後だが、その数字で自分の合否は決まらない¶
基本情報技術者試験の合格率は、通年で受験できる方式になってから、おおむね4割前後で落ち着いています。年度によって上下はありますが、極端に振れる試験ではありません。
10人受けて4人が受かる、という水準です。国家試験としては、決して手が届かない数字ではないと感じます。
ただし、ここからが本題になります。この4割は、あなた個人が合格する確率ではありません。
合格率は、その回に受験した人たちの結果を集計した実績値です。準備した人と、していない人が、同じ分母に入っています。
分母に入っているのは、申し込んだ人ではなく受験した人¶
まず押さえておきたいのが、何を数えた割合なのかという点です。統計では、応募者数と受験者数が分けて示されています。
合格率として広く引用されるのは、受験者数を分母にした数字です。申し込んだものの当日欠席した人は、この分母には入りません。
つまり合格率は、当日に会場へ来て解いた人たちの中での割合になります。そう考えると、数字の印象は少し変わってくるのではないでしょうか。
正確な数字はIPAの統計情報で確認する¶
具体的な人数や年度ごとの割合は、IPAが統計情報として公開しています。まとめ記事の数字は、集計の期間や年度の取り方が違うことがあります。
数字そのものを知りたいときは、IPAが公開している基本情報技術者試験の統計情報を直接見るのが確実です。この記事では、その数字をどう読むかに絞ってお伝えします。
制度や集計の方法は変わることがあります。受験を決めたら、最新の案内にも目を通しておいてください。
なぜ合格率は年によって動くのか¶
同じ試験なのに、年度によって数字が違うのはなぜでしょうか。難しくなったから下がった、と考えたくなりますが、理由はそれだけではありません。
合格率が動く要因は、大きく分けて2つあります。問題の側の事情と、受験する人の側の事情です。
動く理由を整理しておきましょう。
| 動く理由 | 何が起きているか | 受け止め方 |
|---|---|---|
| 受験者の顔ぶれが変わる | 学生の団体受験が増えるなど、準備の度合いが違う層が入る | 難易度の変化とは限らない |
| 受験のしやすさが変わる | 通年で受けられるので、準備できた人から受験する | 準備した人の割合が上がりやすい |
| 出題の傾向が変わる | 科目Bの型や配分が調整される | 特定分野の対策が効きやすくなる |
| 集計の期間が違う | 年度単位か月単位かで数字がずれる | 出典を確認して比べる |
表のとおり、合格率は試験の難しさだけを映した数字ではありません。母集団が変われば、問題が同じでも割合は動きます。
受験する人の顔ぶれで数字は変わる¶
たとえば、学校単位でまとめて受験する回があると、合格率は下がりやすくなります。準備の度合いにばらつきのある層が、まとめて分母に入るからです。
逆に、自分で決めて申し込んだ社会人が多い回は上がることもあります。どちらも、問題の難しさとは別の話です。
数字が去年より低かったとしても、あなたが不利になったわけではありません。ここは切り離して考えて大丈夫です。
通年方式になってから数字の意味が変わった¶
以前の基本情報技術者試験は、決まった日に一斉に実施されていました。いまは通年で受験できるので、準備ができた人から順に受けられます。
この違いは合格率に効きます。準備不足のまま受ける人が減れば、それだけで割合は上がるからです。
だから、昔の数字と今の数字を並べて難易度を語るのは、あまり意味がありません。比べるなら、同じ方式になってからの範囲にとどめておきましょう。
難易度そのものをどう捉えるかは、別の記事で詳しくまとめています。
【関連記事】基本情報技術者試験の難易度は?初心者がつまずく場所を解説
合格率を自分の勉強にどう活かすか¶
ここからが本題です。4割という数字を、どうやって自分の行動に変えるかを考えていきます。
やることは2つだけです。数字を読み替えることと、残りの6割がどこで止まったのかを知ることです。
4割を、2人に1人弱と読み替えてみる¶
10人中4人という言い方は、少し他人事に聞こえます。2人に1人弱、と言い換えると印象が変わります。
隣の席の人と自分、どちらかが受かる。そのくらいの試験だと思ってください。
準備した側に入れば、その中での割合はもっと高くなります。合格率は変えられませんが、自分がどちら側の集団にいるかは選べます。
この読み替えは、気休めではありません。分母に誰が入っているかを考えれば、自然に出てくる話です。
落ちた人がどこで止まったかを知るほうが役に立つ¶
合格率を調べるより価値があるのは、不合格になった人の止まり方を知ることです。原因が分かれば、先回りできます。
私が相談を受けてきた範囲では、止まる場所はかなり偏っていました。よくある3つを整理します。
| 止まる場所 | 起きていること | 先回りする方法 |
|---|---|---|
| 科目Bの擬似言語 | コードを読み切れず、時間内に終わらない | 早い時期から毎日少しずつ読む |
| 科目Aの範囲の広さ | 手を広げすぎて、どれも中途半端になる | 過去問で出る形から順に固める |
| 学習が途中で止まる | 忙しさで間があき、前の内容を忘れる | 1回の学習量を減らして頻度を保つ |
3つのうち、最も多いのが1つ目です。科目Aは進んでいる実感が持てる一方で、科目Bは手応えが出るまで時間がかかります。
だから科目Bを後回しにしてしまい、直前に慌てる。この流れが、6割の側に回る典型的なパターンでした。
合格に必要な点数の基準を知っておくと、逆算がしやすくなります。
【関連記事】基本情報の合格点は何割?科目A・科目Bの基準と得点計画を解説
合格率と合格点は、まったく別の話¶
ここで混ざりやすいのが、合格率と合格点です。名前が似ているせいか、同じものとして扱われることがあります。
合格点は、受かるために必要な基準としてあらかじめ決まっている数字です。一方の合格率は、試験が終わったあとに集計された結果にすぎません。
つまり、片方は目標として使えて、もう片方は使えません。勉強の指針にするなら、見るべきは合格点のほうです。
合格率が下がった年でも、基準点が引き上げられたわけではありません。ここを取り違えると、必要のない不安を抱えることになります。
合格率を上げられるのは科目Bの読む力¶
合格率という全体の数字は動かせません。けれど、自分の合格の確からしさは、科目Bで確実に上げられます。
理由はシンプルです。科目Aは知っているかどうかで決まりますが、科目Bは読めるかどうかで決まるからです。
そして読む力は、練習した分だけ伸びます。ここが、勉強時間が素直に点へ変わる場所になります。
コードを1行ずつ追えるかどうかで差がつく¶
たとえば、次のような短いコードを見てください。合格率の話にちなんで、基準点を超えた人数を数える処理にしてあります。
○整数型: 合格者数を数える(整数型の配列: score, 整数型: kijun)
整数型: i, count
count ← 0
for (i を 1 から score の要素数 まで 1 ずつ増やす)
if (score[i] ≧ kijun)
count ← count + 1
endif
endfor
return count
やっていることは、配列を最初から最後まで見て、基準以上なら数を1増やすだけです。落ち着いて読めば難しくありません。
つまずくのは、条件の向きを読み違えたときです。ここが不等号の向き違いだと、答えは丸ごと変わります。
科目Bで問われるのは、こうした細かい差を最後まで正確に追えるかどうかです。知識量ではなく、読み方の精度で点が決まります。
実務でも同じことが起きます。私が新人のコードを見ていて見つける不具合は、難しいロジックより、条件の向きや添字のずれのほうが圧倒的に多いです。
毎日15分でも、読む時間を切らさない¶
読む力は、まとめて何時間もやるより、少しずつ続けるほうが伸びます。間があくと、追い方の感覚が鈍るからです。
1日15分でもかまいません。1問を最後まで追い切る習慣が、数か月後には大きな差になります。
私自身、新しい言語を覚えるときは同じやり方をしています。まとめて読むより、毎日短く触れているほうが定着が早いと感じます。
擬似言語も同じで、量より間隔のほうが効きます。週末にまとめて3時間やるより、平日に15分ずつのほうが読めるようになります。
科目Bで何を勉強すればいいのか分からない場合は、こちらの記事から始めてください。
【関連記事】基本情報技術者試験の科目Bとは?擬似言語・アルゴリズム対策を初心者向けに解説
読むだけだと理解した気になりやすいのが、擬似言語の難しいところです。Giji Academy の擬似言語シミュレーターなら、コードを1行ずつ動かして変数の値が変わる様子を確かめられます。
合格率を気にしすぎる人がやりがちなこと¶
数字を調べること自体は悪くありません。ただ、調べる時間が長くなると、手が止まりやすくなります。
相談を受けていて気になった3つを挙げておきます。
| やりがちなこと | 何が起きるか | 切り替え方 |
|---|---|---|
| 数字を何度も調べ直す | 勉強を始める前に時間が過ぎる | 一度確認したら、その日は参考書を開く |
| 低い年度を見て不安になる | 受ける前から自信をなくす | 母集団が違う可能性を思い出す |
| 高い年度を見て安心する | 準備量を減らしてしまう | 自分の演習の正答率で判断する |
3つ目は見落とされがちです。合格率が高い回があったとしても、あなたの準備が足りていなければ結果は変わりません。
判断材料にすべきなのは、他人の結果ではなく自分の演習の正答率です。そこだけを見ていれば、迷いはかなり減ります。
調べる時間を1日5分に決めてしまうのも、ひとつの手です。残りの時間は、そのまま演習に回せます。
数字より、自分の記録を持つ¶
おすすめしたいのは、演習の正答率を日付とともに残しておくことです。合格率より、自分の推移のほうがずっと参考になります。
伸びが止まったときも、記録があれば原因を探せます。何をどれだけやったかが見えていれば、次の一手も決めやすくなります。
うまく進まないと感じたときの立て直し方は、別記事にまとめてあります。
【関連記事】基本情報に受からない原因は?科目別に立て直す手順を解説
まとめ¶
合格率は、調べて終わりにすると何も変えてくれない数字です。読み方を知って初めて、勉強の助けになります。
今日の内容を振り返っておきましょう。
| 押さえること | 内容 |
|---|---|
| 水準 | 通年方式になってからは、おおむね4割前後 |
| 分母 | 申し込んだ人ではなく、受験した人 |
| 動く理由 | 難易度だけでなく、受験者の顔ぶれでも変わる |
| 自分の確率 | 全体の割合とは別。準備した側に入れば上がる |
| 力の入れどころ | 読む力で差がつく科目Bの擬似言語 |
4割という数字は、あなたの努力を評価したものではありません。あくまで、その回に受けた人たちの結果です。
だから、低い年度を見て落ち込む必要はありませんし、高い年度を見て気を抜く理由にもなりません。見るべきは、自分の演習の記録だけです。
そして最後に残るのは、たいてい科目Bの擬似言語です。ここを読めるようになれば、合格率がいくつであっても、あなたの側の確からしさは着実に上がっていきます。
数字を確かめたいまが、始めるのにちょうどいいタイミングです。今日は1問だけでいいので、コードを最後まで追ってみてください。