基本情報は範囲が広すぎる?優先して押さえる分野の決め方

公開日: 2026-09-20

基本情報、範囲が広すぎて何から手をつければいいか分からない。

参考書の分厚さを見て、そっと閉じた経験はありませんか?

ネットワーク、データベース、セキュリティ、経営戦略、そして擬似言語。並べられると、確かに気が遠くなります。

でも安心してください。範囲が広いのは事実ですが、全部を同じ濃さでやる試験ではありません。

私はエンジニアとして10年以上、Webシステムの開発や運用に携わってきました。現場で毎日使う知識は、実はこの試験範囲の一部に偏っています。

残りは、知っていれば話が早くなるという程度のものです。試験勉強でも同じ濃淡をつけて構いません。

この記事では、広すぎると感じる範囲をどう絞るかを、判断の基準ごとにお伝えします。試験そのものの全体像から確かめたい人は、先に親記事を読んでおくと話が早くなります。

【関連記事】基本情報技術者試験とは?試験内容・難易度・勉強法を初心者向けに解説

基本情報の範囲が広すぎると感じる理由

最初に、広さの正体を確かめておきましょう。ここを曖昧にしたまま参考書を開くと、また同じ場所で止まります。

基本情報技術者試験は、科目Aと科目Bの2つに分かれています。それぞれの形を並べてみます。

項目 科目A 科目B
出題数 60問 20問
試験時間 90分 100分
問われるもの 幅広い知識 アルゴリズムと情報セキュリティの読解力
合格の基準 1,000点満点で600点以上 1,000点満点で600点以上

広すぎると感じさせているのは、左の列です。科目Aはテクノロジ、マネジメント、ストラテジという3つの系統にまたがります。

一方、右の列は違います。科目Bで問われるのはほぼ2つの分野だけで、こちらは範囲というより読む力の勝負です。

つまり、広さの問題は科目Aに閉じています。ここを分けて考えるだけで、心理的な重さがかなり減ります。

難しすぎると感じるのは量ではなく順番のせい

範囲が広いことと、難しすぎることは別の話です。相談を受けていると、この2つが混ざっている人が多いと感じます。

参考書を1ページ目から順に読んでいる場合、最初に来るのはコンピュータの仕組みや2進数です。ここは初心者が一番つらい場所で、しかも配点が特別高いわけではありません。

序盤でつまずいて、全体が難しすぎると感じてしまう。よくあるパターンです。

難易度の中身そのものを分解した記事もあるので、怖さが先に立っている人はこちらも参考にしてください。

【関連記事】基本情報技術者試験の難易度は?初心者がつまずく場所を解説

全部を同じ濃さでやると時間が足りない

広い範囲に均等に時間を配ると、どこも中途半端になります。これが一番もったいない失敗です。

試験は満点を取る競技ではありません。基準を超えればよいので、力の入れどころを決める作業がそのまま得点につながります。

全体にどれくらいの時間が必要かの目安は、別の記事でまとめています。自分の持ち時間と照らし合わせてみてください。

【関連記事】基本情報技術者試験の勉強時間は何時間?未経験・社会人別に目安と配分を解説

優先する分野を決める3つの基準

では、どうやって優先順位をつけるのか。私が人に勧めているのは、次の3つの物差しです。

判断に迷ったら、この順に当てはめてください。

基準 見るところ 判断のしかた
出題の重さ その分野が何問ぶんの点になるか 重い分野を先に固める
伸びしろ 勉強量に対して点が伸びるか 暗記で取れる分野は後半に効く
積み上げ 理解に時間がかかるか 時間のかかる分野ほど早く始める

3つの中で特に大事なのが、一番下の積み上げです。理由は次で説明します。

基準1:重い分野から手を付ける

科目Bは20問しかありませんが、試験全体としては科目Aと同じ基準で評価されます。問題数が少ないぶん、1問あたりの重みは科目Aより大きくなります。

科目Aの中では、テクノロジ系の出題が中心になります。マネジメント系やストラテジ系は、用語の意味を知っていれば答えられる問題が多く、後半で追い込めます。

だから最初に時間を使うのは、科目Bとテクノロジ系です。ここが崩れていると、後半でいくら詰め込んでも届きません。

基準2:時間のかかる分野を先に始める

暗記で取れる分野は、直前でも間に合います。逆に、理解に時間のかかる分野を直前に回すと取り返せません。

擬似言語がまさにそれです。コードを読む力は、数日では身につきません。

私も新人研修でコードの読み方を教えることがありますが、読めるようになるまでには何度も手を動かす期間が必要でした。試験勉強でも、ここだけは前倒しが効きます。

科目Bの勉強を何から始めればいいか分からない人は、専用の記事があります。

【関連記事】基本情報技術者試験 科目Bの勉強法|初心者が合格までにやることを順番に解説

捨ててよい分野はあるのか

よく聞かれる質問ですが、完全に捨てるのはおすすめしません。基準点を超える必要がある以上、穴が多いほど他で埋める負担が増えるからです。

現実的なのは、捨てるのではなく濃淡をつけることです。深追いしない分野を決める、という言い方のほうが近いでしょう。

たとえば計算の重い分野は、公式を覚えて典型問題だけ解ければ十分です。そこから先の難問は、時間が余ってから考えれば構いません。

分野ごとの力の入れ方の目安

基準が分かったところで、分野ごとの扱いを一覧にしておきます。あくまで初心者が最短で基準点に届くための配分です。

これを机の前に貼っておくと、迷ったときに戻ってこられます。

分野 力の入れ方 進め方
擬似言語・アルゴリズム 最優先 毎日少しずつ、手を動かす
情報セキュリティ 優先 科目A・科目Bの両方で問われる
ネットワーク・データベース 典型問題と用語を押さえる
コンピュータの仕組み・計算 公式と典型パターンに絞る
マネジメント系 後半 用語の意味を覚えれば取れる
ストラテジ系 後半 過去問で出た用語から固める

上の2つが、科目Bで直接問われる分野です。ここだけは、後回しにしないでください。

下の2つは、直前の1、2週間でも十分に間に合います。範囲が広いという印象の多くは、実はこの後半の分野が作っています。

擬似言語は毎日の積み上げで決まる

最優先にした擬似言語が、どのくらいのものかを見ておきましょう。実際のコードは、たとえばこういう形です。

○整数型: 最大値(整数型の配列: data)
  整数型: i
  整数型: saidai ← data[1]
  for (i を 2 から data の要素数 まで 1 ずつ増やす)
    if (data[i] > saidai)
      saidai ← data[i]
    endif
  endfor
  return saidai

配列の中から一番大きい値を探す処理です。行数は7行しかありません。

科目Bで出るコードも、長さとしてはこの程度です。難しいのは書き方ではなく、値がどう動くかを目で追う作業のほうです。

試しに data が {4, 9, 2} のときを追ってみます。

i data[i] 比較の結果 saidai
ループ前 4
2 9 9 > 4 なので更新 9
3 2 2 > 9 ではない 9

答えは9です。この表を自分で書けるようになれば、科目Bの問題はかなり解けるようになります。

Giji Academy では、こうしたコードを1行ずつ実行して変数の動きを画面で確かめられる擬似言語シミュレーターを公開しています。紙とペンで追うのが苦しい人は、まず動かして感覚をつかむほうが早いです。

擬似言語シミュレーターで値の動きを見てみる

科目Bの全体像をまだつかめていない人は、こちらの記事から始めてください。

【関連記事】基本情報技術者試験の科目Bとは?擬似言語・アルゴリズム対策を初心者向けに解説

セキュリティは一度の勉強が二度効く

分野ごとの表で、情報セキュリティを上のほうに置いた理由も説明しておきます。この分野だけは、科目Aと科目Bの両方で問われるからです。

同じ勉強が二か所で点になるので、費用対効果がとても高い分野です。範囲を絞りたい人ほど、ここは厚くしてください。

内容としても、暗号やマルウェアの仕組みなど、日常の話と結びつけやすいものが並びます。丸暗記になりにくいぶん、初心者でも取り組みやすい分野です。

何を勉強すればよいかは、専用の記事にまとめてあります。

【関連記事】基本情報の情報セキュリティは何を勉強する?科目A・科目Bの対策を解説

範囲を絞る作業は過去問でやる

優先順位を机上で考え続けても答えは出ません。実際には、過去問を解きながら決めていくのが一番確実です。

何度も出ている論点は重い分野、めったに出ない論点は深追いしない分野。この判断は、問題を数回分解けば自然と見えてきます。

過去問の量と周回のしかたは、別の記事に整理してあります。

【関連記事】基本情報の過去問は何年分・何割解けばいい?周回のしかたを解説

参考書は1ページ目から読まない

優先順位を決めたら、参考書の読み方も変えてください。最初から順に読む必要はありません。

多くの参考書は、コンピュータの仕組みや2進数から始まります。ここは理解に時間がかかるわりに、序盤で全部を飲み込む必要のない分野です。

私が勧めているのは、目次を開いて擬似言語の章とセキュリティの章に付箋を貼り、そこから読み始めるやり方です。読む順番を自分で決めた時点で、範囲は自分の手の中に入ります。

もし読み始める順番そのものに迷うなら、全体の流れを示した記事が参考になります。

【関連記事】基本情報の勉強ロードマップ|申し込みから合格までの進め方を解説

3か月で回すときの割り振り例

最後に、時間の配り方を具体化しておきます。3か月を確保できる人を想定した例です。

期間が違っても、前半と後半の役割は変わりません。

時期 主にやること 科目Bの扱い
1か月目 テクノロジ系の基礎と擬似言語の入門 毎日1問、短いコードを読む
2か月目 科目Aの過去問演習、セキュリティを厚く 週に3回、トレースの練習
3か月目 弱点の補強、マネジメント・ストラテジ系 本番形式で通して解く

一番右の列に注目してください。科目Bだけは、3か月を通して途切れさせません。

読む力は貯金ができない代わりに、続けていれば確実に伸びます。逆に科目Aの暗記分野は、後半に集中させたほうが本番まで記憶が持ちます。

予定どおりに進まなくても立て直せる

計画を立てても、そのとおりに進む人はほとんどいません。仕事や学校の都合で、抜ける日は必ず出ます。

そのときに削るのは、後半の暗記分野ではなく、深追いしていた難問のほうです。優先順位を決めてあれば、削る場所で迷いません。

私も仕事の計画では、何を後回しにするかを先に決めておきます。やることだけ並べた計画は、遅れた瞬間に機能しなくなるからです。

進み具合は範囲の消化率で測らない

進捗の測り方も見直しておきたいところです。参考書の何ページまで進んだかで測ると、いつまでも終わらない感覚から抜けられません。

代わりに、過去問を解いたときの正答率で測ってください。範囲の消化率ではなく、得点の伸びが本当の進み具合です。

実務でも、作業した量ではなく動いた機能の数で進み具合を見ます。試験勉強でも同じ見方をすると、やるべきことが自然と絞られていきます。

広さに圧倒されたら1日の単位に戻す

それでも範囲の広さに押しつぶされそうになったら、視点を1日に戻してください。今日やるのは、参考書の1節と擬似言語のコード1本です。

3か月の全体像は、週に1回見直せば足ります。毎日眺めるものではありません。

まとめ

基本情報の範囲が広すぎると感じるのは、あなたの理解力の問題ではありません。均等に配ろうとすると終わらない量だという、それだけの話です。

今日お伝えした内容を振り返っておきましょう。

決めること 結論
広さの正体 広いのは科目A、科目Bは読む力の勝負
優先の基準 重さ・伸びしろ・積み上げの3つで判断
最優先の分野 擬似言語と情報セキュリティ
後半に回す分野 マネジメント系とストラテジ系
絞り方 過去問を解きながら決めていく

全部をやろうとしないと決めた時点で、勉強は動き出します。順番さえ間違えなければ、範囲の広さは障害になりません。

今日はまず、擬似言語のコードを1本だけ読んでみてください。その1本が、一番効く場所への投資になります。

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