基本情報の問題集・模擬試験はどう使う?演習量の決め方を解説
問題集は買った。でも、どこから何問やればいいのか分からない。
演習の量を、なんとなくで決めていませんか?
参考書を一通り読み終えたあと、多くの人がここで止まります。やるべきことは演習だと分かっているのに、手が動かないのです。
そして目についた問題から解き始めて、直前になって手つかずの分野に気づく。よくある流れです。
私はエンジニアとして10年以上、Webシステムの開発や運用に携わってきました。新しい言語や仕組みを覚える場面は何度もありましたが、身についたかどうかを分けたのは、書いた量ではありませんでした。
差がついたのは、間違えた場所を記録して、同じ間違いを二度目にしなかったかどうかです。資格の勉強でも、まったく同じことが起きます。
この記事では、問題集・練習問題・模擬試験の役割を分けたうえで、演習の量をどう決めるかをお伝えします。冊数を増やす話ではありません。
試験の全体像がまだぼんやりしている場合は、先にこちらを読むと演習の位置づけがはっきりします。
【関連記事】基本情報技術者試験とは?試験内容・難易度・勉強法を初心者向けに解説
問題集・練習問題・模擬試験は役割が違う¶
演習と一口に言っても、中身は三つに分かれます。ここを混ぜたまま進めると、時間だけが減っていきます。
まず、それぞれが何のためのものかを整理しておきましょう。置き場所が決まると、迷う時間がなくなります。
| 種類 | 目的 | 向いている時期 | 終わったあとにやること |
|---|---|---|---|
| 問題集 | 分野ごとの穴を見つける | 参考書を読み終えた直後 | 間違えた分野を参考書に戻って読む |
| 練習問題 | 解き方の手順を体に入れる | 穴が分かったあと | 同じ型の問題をもう一度解く |
| 模擬試験 | 時間配分と本番の感覚を試す | 試験日の3〜4週間前 | 時間を使いすぎた場所を特定する |
この表で大事なのは、いちばん右の列です。解いて丸を付けるところで終わると、どの種類も効果が半分になります。
演習が伸びない人の多くは、解く量ではなく、解いたあとの処理を飛ばしています。私が新人に演習を勧めるときも、必ずここを先に決めてもらいます。
問題集は正解するためのものではない¶
問題集を解く目的は、点を取ることではありません。自分がどの分野で落ちるかを見つけることです。
だから最初の1周は、正答率が低くても問題ありません。むしろ全問正解してしまうと、その周は情報が何も得られなかったことになります。
解きながら、分からなかった問題に印を付けてください。印の付き方に偏りが出たら、そこが穴です。
実務でも、テストを書く目的は通すことではなく、壊れている場所を先に見つけることでした。問題集はその役割に近いものだと考えると、向き合い方が変わります。
練習問題は同じ型を繰り返すためのもの¶
穴が見つかったあとに必要なのは、別の問題ではなく同じ型の問題です。一度間違えた手順を、もう一度なぞる必要があります。
ここで新しい問題集をもう1冊買ってしまう人がいます。気持ちは分かりますが、型が身につく前に量を増やしても、同じ間違いを別の場所で繰り返すだけです。
練習問題は、正解の手順を思い出さずに再現できるところまで続けます。答えを覚えるのとは違います。
模擬試験は点数を測る道具ではない¶
模擬試験の役割は、実力の測定ではありません。時間の使い方を試すことです。
同じ問題でも、時間を区切って解くと手が止まる場所が変わります。その場所こそが、本番で落とす場所になります。
だから模擬試験は、点数よりも時間の配分を振り返るために使ってください。詳しい見方は後半で扱います。
演習量はどう決めればいいのか¶
何問やればいいですか、という質問をよく受けます。ただ、問題数を先に決めるやり方はあまりうまくいきません。
決めるべきなのは問題数ではなく、時間の配分です。残り期間ごとの目安を表にしました。
| 残り期間 | 演習に充てる割合 | 優先すること |
|---|---|---|
| 3か月以上 | 全体の3割 | 参考書を読みながら分野ごとに解く |
| 2か月前後 | 全体の5割 | 問題集を1周して穴を洗い出す |
| 1か月前 | 全体の7割 | 間違えた分野の解き直しと科目Bの演習 |
| 2週間前 | 全体の8割 | 模擬試験と、間違えた問題のやり直し |
割合で決めておくと、忙しい週でもやることが変わりません。勉強時間が半分になっても、比率はそのまま保てます。
逆に問題数で決めると、時間が取れない週にそのまま計画が崩れます。崩れた計画は、たいてい戻ってきません。
科目Aは周回数、科目Bは問題数で数える¶
同じ演習でも、科目Aと科目Bでは数え方を変えたほうがうまくいきます。問われている力が違うからです。
科目Aは知識を問う試験なので、広く浅く何度も当たるのが効きます。同じ問題集を何周したかで進み具合を測ってください。
一方の科目Bは、1問に向き合う時間が長い試験です。周回数ではなく、何問を最後まで自力で追えたかで数えます。
科目Bを科目Aと同じ感覚で周回すると、答えの記号だけを覚えてしまいます。これが本番でいちばん効かない状態です。
過去問を何年分やるべきか迷っている場合は、こちらで周回の考え方を詳しく整理しています。
【関連記事】基本情報の過去問は何年分・何割解けばいい?周回のしかたを解説
解き直す時間を先に確保する¶
演習計画で最初に崩れるのが、解き直しの時間です。新しい問題を解くほうが進んでいる感じがするので、つい後回しになります。
そこで、週の演習時間の3割ほどを解き直しに先取りしてください。残りで新しい問題を解く形にします。
この順番にしておくと、間違えた問題が溜まったまま試験日を迎えることがなくなります。実務で不具合の修正を後回しにすると溜まるのと同じ構造です。
問題集は1冊を最後まで使う¶
複数の問題集を並行させると、どれも中途半端なところで止まります。分野の並び順も解説の書き方も違うので、行き来するたびに頭を切り替える必要があるからです。
まずは1冊を最後まで通すほうが、結果として早く終わります。足りない分野が見つかったときに、初めて2冊目を検討してください。
問題集や参考書の選び方そのものに迷っている場合は、書名ではなく中身の基準で決めるのが失敗しないコツです。
【関連記事】基本情報の参考書はどう選ぶ?おすすめの基準と古い版の扱いを解説
科目Bの演習は問題集だけでは足りない¶
ここまでの話は、科目Aにはそのまま当てはまります。ただ科目Bだけは、問題集を解くだけでは埋まりません。
理由は単純で、擬似言語のコードは目で追っただけでは値の動きが見えないからです。答え合わせをしても、どこで間違えたかが分からないまま終わります。
たとえば、次のような短いコードを考えてみてください。演習の記録を数える処理です。
整数型の配列: kekka ← {1, 0, 1, 1, 0}
整数型: i, seikai
seikai ← 0
for (i を 1 から kekka の要素数 まで 1 ずつ増やす)
if (kekka[i] = 1)
seikai ← seikai + 1
endif
endfor
読むだけなら、正解した回数を数えていると一目で分かります。多くの人がここで止まってしまいます。
では、seikai の値は途中でどう変わるでしょうか。書き出すと次のようになります。
| i | kekka[i] | 条件 | seikai |
|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 真 | 1 |
| 2 | 0 | 偽 | 1 |
| 3 | 1 | 真 | 2 |
| 4 | 1 | 真 | 3 |
| 5 | 0 | 偽 | 3 |
この表を自分で書けたかどうかが、本番での差になります。問われているのは答えではなく、途中の値を追えるかどうかだからです。
本番の問題では、条件が入れ子になったり、配列の添字がずれたりします。そのときに頼れるのは、値を書き出す手癖だけです。
科目Bは解説を読んだだけでは再現できない¶
科目Bの問題集には解説が付いています。ただ、解説を読んで納得しても、次の問題が解けるとは限りません。
解説は正解までの道のりを整理したものなので、迷った場所が省かれています。自分がどこで迷ったかは、自分で追わないと出てきません。
だから科目Bの演習では、解説を読む前に必ずトレース表を書いてください。書いたうえで解説と突き合わせると、ずれた行がはっきりします。
科目Bという試験そのものの中身を先に押さえておきたい場合は、こちらが入口になります。
【関連記事】基本情報技術者試験の科目Bとは?出題内容と対策を初心者向けに解説
演習が足りないときは自分で作れる¶
科目Bの問題は数が限られているので、すぐに手持ちが尽きます。ここで焦って答えを覚え始めると、初見の問題に対応できなくなります。
足りないぶんは、自分で作るのがいちばん早い解決策です。変数の初期値や条件を少し変えるだけで、別の問題になります。
擬似言語の練習問題を自作する手順は、専用の記事でまとめています。
【関連記事】擬似言語の練習問題が足りない人へ|自分で作って力を付ける方法
Giji Academy の擬似言語シミュレーターは、この書き出しを画面上でできるように作ってあります。コードを1行ずつ進めて、変数の中身が変わる様子をその場で確認できます。
無料で試せるので、科目Bの演習でつまずいている場合は一度動かしてみてください。擬似言語の学習コースから分野を選べます。
模擬試験はいつ受けて、どう振り返るか¶
模擬試験は、早すぎても遅すぎても効果が薄くなります。受ける時期の目安は、試験日の3〜4週間前です。
早すぎると、まだ埋まっていない分野が多すぎて時間の話にならない。遅すぎると、見つかった課題を直す時間が残りません。
振り返るときに見るのは、点数ではなく時間の使い方です。次の観点で確認してください。
| 見るところ | 良い状態 | 崩れているときの直し方 |
|---|---|---|
| 最後まで解き切れたか | 見直しの時間が残った | 1問あたりの上限時間を決めて練習する |
| どこで時間を使ったか | 配点の大きい問題に使えた | 手が止まる型を演習で潰す |
| 飛ばす判断ができたか | 迷ったら印を付けて先へ進めた | 演習でも飛ばす練習を入れる |
| 間違いの種類 | 知識不足が中心 | 読み違いが多いなら読み方から直す |
いちばん多いのは、時間が足りずに最後まで届かない状態です。この場合、知識を足すより先に、飛ばす判断の練習が必要になります。
飛ばすのは逃げではありません。限られた時間で点を最大にする、れっきとした技術です。
模擬試験は本番と同じ条件で受ける¶
家で解くときも、時間を測って途中で止めないでください。条件を緩めると、時間の話が測れなくなります。
途中で参考書を開くのもやめておきます。分からない問題を飛ばす感覚は、その場でしか練習できません。
終わったあとに調べるのは自由です。むしろ、そこが復習のいちばん濃い時間になります。
結果が悪くても方針は変えない¶
模擬試験の点数が思ったより低いと、教材を変えたくなります。ただ、残り1か月で柱を変えるのはおすすめしません。
点数が低いのは、たいてい教材のせいではなく演習量の配分の問題です。どの分野で落としたかを見て、そこに時間を寄せれば足ります。
過去問演習に寄せすぎたときに何が起きるかは、別の記事で詳しく整理しています。
【関連記事】基本情報は過去問道場だけで合格できる?足りない部分と補い方
演習でよくある三つの失敗¶
最後に、見てきたなかで多かった失敗を挙げておきます。どれも真面目に取り組んでいる人ほど起こりやすいものです。
自分が当てはまっていないか、確かめながら読んでみてください。
| 失敗 | 起きること | 立て直し方 |
|---|---|---|
| 問題集を増やす | どれも途中で止まる | 1冊を最後まで通す |
| 解きっぱなしにする | 同じ分野で何度も落とす | 解き直しの時間を先に確保する |
| 科目Bを周回する | 答えの記号を覚えてしまう | 1問ずつトレース表を書く |
共通しているのは、解いた量が増えても、間違いが減っていないことです。演習の目的は問題を消費することではありません。
減らしたいのは、間違いの種類です。同じ理由で落とす問題が減っていれば、演習は効いています。
進み具合は正答率ではなく間違いの種類で測る¶
正答率は分かりやすい指標ですが、上下しやすく当てになりません。簡単な分野が続けば上がり、苦手な分野に入れば下がります。
代わりに、間違えた理由を三つに分けて記録してみてください。知識が無い、読み違えた、時間が足りない、の三つです。
どの理由が減っているかを見れば、演習が効いているかが分かります。知識不足が減って読み違いが残っているなら、次は読み方の練習に移る時期です。
まとめ¶
問題集は穴を見つける道具、練習問題は型を身につける道具、模擬試験は時間の使い方を試す道具です。役割を分けるだけで、同じ時間でも進み方が変わります。
演習量は問題数ではなく、勉強時間に対する割合で決めてください。忙しい週でも計画が崩れなくなります。
科目Aは周回数、科目Bは自力で追い切った問題数。この数え方の違いを守れば、科目Bだけ手応えが無いという状態を避けられます。
そして解いたあとの解き直しが、いちばん点になる時間です。新しい問題より先に、間違えた問題に戻ってください。
科目Bの演習で値の動きが見えなくなったら、コードを1行ずつ動かせる場所に戻ってきてください。追えた瞬間に、擬似言語は急にやさしくなります。